相振り四間飛車でも?ダイレクトvsワンストップ問題
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あなたは「ダイレクト向かい飛車」という言葉をご存知ですか?主に角交換四間飛車との対比で使われる概念・戦法です。本エントリーでは、この「ダイレクト・ワンストップ」の概念を軸に、相振り四間飛車の優位点について、考えてみたいと思います。
よろしくお願いいたします。
はじめに
ご存知の方も多いかとは思いますが、角交換四間飛車とは基本的に、一旦四間の位置に飛車をワンストップさせた後に、改めて向かい飛車の位置に飛車を振り直すことを前提とした、戦法です。
何故ワンストップするかというと、▲6五角問題があるからです・・・どこかで聞いたような話ですね。
例えば、以下のような局面図です。
確実に馬を作られてしまいますね。このとき、飛車を四間の位置にワンストップさせていれば、この問題は防げます。
▲3八銀から、普通に美濃囲いに行くことができます。ただ、ダイレクト向かい飛車が▲6五角(△4五角)問題になすすべないかというとそうでもなく、
▲3六角と合わせれば、互角以上に戦えると、ダイレクト向かい飛車派の間では言われています。例えばC図から強引に馬を作りに行くと、
▲5八金で馬が死んでしまいます。このように、ダイレクトとワンストップの特徴は、以下にあるのではないかと思われます。
- 四間の位置にワンストップさせると、一手損する代わりに、安全に駒組みすることが出来る。
- ダイレクトに向かい飛車に振ると、一手得する代わりに、危険な駒組みになる。
前者と後者を比べると、前者の方が初級者に優しく、後者の方が上級者向けの、難易度の高い戦法のように見えますよね?
これです!
相振り四間飛車はあまり定跡化は進んでいない印象がありますが、実は相振り四間飛車にも、角交換四間飛車と同様に、折りを見て向かい飛車に振り直すことを想定しているような節が、あります。例えば、こちらのエントリーにて紹介させていただいた、連続歩交換のような。
向かい飛車は、相振り飛車の中では、得の多い戦法と言われています。その向かい飛車に、ダイレクトに組むのではなく、四間の位置にワンストップしてから組む方が安全で初級者向けだとすると・・・?
というわけで、本エントリーでは、「ワンストップ向かい飛車」という視点から、相振り四間飛車のメリットを考えて見たいと、思います。
ダイレクトに向かい飛車に振るのは「手がかかる」
実は、相振り飛車でダイレクトに向かい飛車に振るには、それなりに手がかかります。物理的に、単純に振るだけなら▲7六歩〜▲7七角で振れますが・・・少し、先手三間飛車を相手に、これをやってみたいと思います。例によって例のごとく、先後逆表記です。
さすがにここで▲7七角とか行くと、角交換を挑まれて飛車を振るどころではなくなりそうなので、角道を止めるとします。
当然、三間飛車側は、飛車を三間に振ってきます。ここで向かい飛車に行くために、▲7七角と上がると・・・
△3六歩からの猛攻を喰らいます。
ここで△3四飛と引き下がってくれればよいですが・・・
横歩取りされると痛いことになります。歩を二枚持ち駒にされる上に角成待った無し、「序盤は飛車より角」で収拾がつかなくなります。
このように、単純に▲7六歩〜▲7七角から向かい飛車に振るのは無理筋で、6六の地点に角ともう一枚、利きを増やしてからでないと、飛車の横歩取りを喰らいます。
ダイレクト向かい飛車に行こうと思うなら、▲6七銀で利きを増やすしかないですが・・・それには、二手かかります。先手ならともかく、後手のF図からはそのニ手は間に合いません。F図から一手で6六の地点に利きを増やそうと思うと・・・
四間の位置に飛車をワンストップさせるしか、ないのです。これならば、横歩取りも、△5五角も防げて、安全に二枚金に組むことが出来ます。・・・角交換四間飛車のワンストップ・ダイレクト問題と似ていると、思いませんか?
それでもダイレクトに行くならば
角交換四間飛車におけるダイレクト向かい飛車に、▲3六角という切り返しがあったように、相振り飛車における後手ダイレクト向かい飛車にも、一応切り返しはあります。詳しくは「マイコミ将棋BOOKS 相振りレボリューション」という書籍に掲載されていますが、
【K図】
初手からの指し手:△3四歩▲7六歩△3五歩▲5六歩
先手三間vs後手向かい飛車の場合は、▲5六歩と突くのが、最近の指し回しなんだそうです。これに対し、三間飛車側は△4四歩と角道を閉じるのが常道なのですが、もし開きっぱなしで△3ニ飛と振った場合は・・・
【L図】
K図からの指し手:△3ニ飛▲2ニ角成△同銀▲6五角
角交換を挑んだ後に、ガン◯ム大地に立つよろしく、歩の上に角を仁王立ちさせるのがポイントなんだとか・・・先手向かい飛車とは似ても似つかぬ指し回しです。何度か実戦で試してみましたが、私ごときには指しこなせませんでした。
おわりに
いかがだったでしょうか。例によって例のごとく素人の浅知恵の可能性はありますが、特に後手の場合は、安全に向かい飛車に振ろうと思ったら、一旦四間の位置にワンストップさせるのは、ありなような気がします。角道を止めて、じっくり自分のペースで駒組みをする。やはりそれが、相振りでも、四間飛車の魅力のような気が、してきました。
というわけで、本エントリーの内容はこれで終わりになります。最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。