【検証】相掛り棒銀で後手側は攻め手を作ることが出来るのか?【なんとかなる?】
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本エントリーでは、前回の最後で前振りしたネタ・「相掛り棒銀における後手側」について、検証してみたいと思います。
はじめに
皆様、このコロナ禍の中、いかがお過ごしでしょうか。皆様がご無事であることを祈るばかりです。私はというと、健康面はぼちぼちですが、世間のご他聞に漏れず在宅勤務で引きこもりな毎日です。そして、前回せっかく資格試験の終了記念で更新してみたものの、すっかり遅筆癖がついてしまいました。
仕事の直前の仕様変更やら在宅でも問題なく出来る現業務の性質が災いし、すっかり曜日感覚のないイケナイワークスタイルが身についたのがいけません。
しかし、仕様変更のビハインドも何となくキャッチアップ出来てきたので、せっかくですしこの間隙を縫って、前回振ったネタを少し回収してみたいと思います。今回のネタはズバリ、
相掛り棒銀で後手側はどうするべきなのか?
これです。前回も触れましたが、相掛り棒銀関連のネタは大抵、先手目線だと思います。そして大抵、先手が攻め破ります。そこで本エントリーでは後手目線に立ち、後手側が一方的に受けに回らなくても済む方法即ち、必勝とは言わんまでもせめて、攻め合いに持っていける方法は、果たしてあるのか?について、検証してみたいと思います。
せっかく棒銀するのに、一方的に受けに回るなんて、不本意ですよね。後手で同型戦型なので多少不利なのは致し方が無いにせよ、せめて攻め合いの展開から「一局の将棋」に持っていきたいというのが、本エントリーの狙いです。
ちなみに、今回の解析も、「将棋山脈」を使って行いました。
定跡のおさらい
飛車先の歩交換と飛車の位置
いくら「攻め合いに持っていきたい」とはいえ、相手が先手である以上、一旦受けに回らなければならないことは、避けようがありません。ということで、まずは「ここまでは仕方がない」というところまで、定跡に沿って手順をおさらいしてみたいと思います。参考書籍は、以下になります。
最強棒銀戦法:決定版 棒銀の必勝バイブル (スーパー将棋講座)
- 作者:飯塚 祐紀
- 発売日: 2008/07/01
- メディア: 単行本
【第1図】
初手からの指し手:▽8四歩▲2六歩▽8五歩▲2五歩▽3二金
後手目線で行くので、先後逆表記で棋譜を表示します。▲2五歩のところ、▲7八金と受けるべきか迷うかもしれませんが、▲2五歩といって大丈夫です。先手側が受けずに▽8六歩とくれば、お望み通り攻め合いの展開になる上、基本的には後手側が有利になります。詳しく知りたい方は、先の参考書籍をご覧いただくか、Google先生にご質問いただければと思います。
【第2図】
第1図からの指し手:▲7八金▽8六歩▲同歩▽同飛▲8七歩▽8二飛
続いて、後手側も金で角頭を受け、飛車先の歩交換を受け入れます。▽8二飛のところ、▽8四飛と浮く手もありますが、そうなると相掛り棒銀ではなくなって本テーマからは外れるので、ここは▽8二飛と引き飛車に構えることにします。浮き飛車に構えられれば、こちらは飛車先の歩交換できませんので、▲3八銀や▲4八銀あたりから銀を先行させる形になるでしょうか。テーマからずれるので、今回はそこらへんは割愛します。
【第3図】
第2図からの指し手:▲2四歩▽同歩▲同飛▽2三歩▲2六飛
飛車先の歩交換を省略し、▲7八銀から先行する手も無くはないのですが、結論を言うと、▲2六銀に持って行っても▲3六銀に持って行っても、コンピュータの評価が高い攻め手は見つかりませんでした。なので、ここはもうしばらく定跡に沿って進めていきます。後手側は、▲2八飛と引き飛車にすると、先手の棒銀で攻め潰されてしまうので、定跡通り浮き飛車に構えます。
先手の攻め:第一波
ここからいよいよ先手の棒銀が始まるので、まずは一旦、それを受け切ります。結局受けの展開になるやんというツッコミも聞こえてきそうですが、今しばらくお待ちください。
【第4図】
第3図からの指し手:▽7二銀▲7六歩▽8三銀▲7七角▽7四銀▲8八銀
ハイ、ココです
参考書によっては、これが「結果図」として、ここで終わっているケースもあるのではないかと思います。この後、先手側は、▽6五銀に出ても▽7五銀に出ても、後手側が▲7五歩と突けば飛車の横利きが通り、「数の理論」で受かります。
一応、これで「棒銀は受かっている」とされており、森下卓先生の「なんでも棒銀 (将棋必勝シリーズ)」なんかでは、この後の一例として、「▽6四歩~▽6三銀~▽7四歩」と、一旦銀を引いて「ゆっくりした流れ」にする差し回しなんかが、紹介されています。
が、しかし
先に紹介した「最強棒銀戦法:決定版 棒銀の必勝バイブル (スーパー将棋講座)」なんかでは、先手はあくまでも積極的な攻めを目指しており、結局ここから後手が攻め潰される結果図ばかりなんですよね。この本、棒銀を勉強するためにはなかなかいい本だと思うのですが、これだと自分が後手のときに、路頭に迷います。
そこで
繰り返しになりますが、先手の攻めが一段落した第4図の局面から、先手が飯塚先生の本に沿って全力で攻めてきた場合に、後手側も負けずに攻め手を作る方法が、あるのか?を、コンピュータ先生のお力をお借りして解析してみるのが、本エントリーでやりたいこととなります。
終わりに:次回に続きます
ネタフリだけやって終わるのもなんだか恐縮ですが、定跡のおさらいも出来たし長さ的にもちょうど良さそうな気がするので、本エントリーは一旦、ここで切りたいと思います。最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
次回、果たしてコンピュータ将棋は、どんな結論を出すのか?お楽しみいただけましたら、幸いです。