我らが天帝の新帝王学・四間飛車上達法を学ぼう!part2

スポンサーリンク

あなたは、藤井猛九段の新四間飛車本・四間飛車上達法はもう読破しましたか?本サイトでは以前、入手した直後の同書に対するファーストインプレッションを、紹介させていただきました。

本エントリーでは、精読して改めての感想を、紹介させていただければと思います。よろしくお願いいたします。

はじめに

大変恐縮なことに、「四間飛車上達法」というキーワードでGoogle検索すると、かなりの上位に当サイトがヒットします。当サイトのアクセスログなどを見ましても、「四間飛車上達法」で検索して来ていただいたとおぼしきアクセスなどもあり、光栄な限りです。

ですが

以前のエントリーは、ファーストインプレッションで書いただけあって、今読み返してみると「そうだっけ?」とセルフツッコミしたくなる箇所も、なきにしもあらず。

せっかくですので、読破後の改めての感想も、ご紹介させていただければと思います。

四間飛車上達法 (最強将棋レクチャーブックス)

四間飛車上達法 (最強将棋レクチャーブックス)

第1章

第1章のタイトルは、「対抗形とは何か ー 駒組みの基本と隠された仕組み」です。どちらかというと、序章的な位置づけです。

何故、対抗形なのでしょうか?

特に断りなく「四間飛車の本」と言えば、大抵は四間飛車vs居飛車の対抗形です。「四間飛車の本」とだけいって相振り四間飛車の本であることは、まず無いと思います。何故でしょう?相振り飛車で四間飛車があまり得がなく、主流でないということもあるかもしれませんが、それだけではありません。藤井先生曰く、対抗形は、将棋の基本を学ぶ上で、絶妙な題材でもあるとのことです。

そうです!

本書のテーマは、ただ単に四間飛車を学び、上達するということに留まりません。四間飛車を通して、そもそも将棋とはどういうものか、将棋そのものに対する理解を深め、上達する内容になっているのです。

それを踏まえ、第1章では、何故対抗形が絶妙な題材なのか、四間飛車にはどんなメリットがあるのか、どんな人が四間飛車に向いているのか、などの、藤井先生の思いが、語られています。

第2章

第2章のタイトルは、「攻めについて ー 6七銀型と棒銀」となっています。1章の最後に、「四間飛車は左銀の位置どりが大事で、これによって性質が変わる」とのネタ振りがあり、本2章以降は、その銀の位置どりによって、章立てが分かれています。

本章タイトル「攻めについて」ですが、以前のエントリーでもご紹介させていただいた通り、「棒銀相手に四間飛車で逆に攻める方法はあるのか?」という意味ではありません

「そもそも、将棋で攻めるとは、どういうことか?」というテーマを、四間飛車vs棒銀を題材に解説しているのが本章であり、攻めているのは棒銀側です。だからといって、「なんだ、攻めているのは棒銀か。じゃあ、四間飛車には関係ねぇや」と思ってはいけません。第4章・持久戦の章では、立場が逆転し、本章で学ぶ攻めのエッセンスを持って、四間飛車側が攻めることになります。

ですので、本章は、単純に四間飛車vs棒銀の定跡を学ぶのではなく、「将棋の攻めとはそもそもこういうもので、故に棒銀はこう攻めてくるから、四間飛車はこう受けるべき」という視点で眺めて見るのがベターではないか、とChibaは思いました。

第3章

あなたは実戦で、一手違いで負けて悔しい思いをしたことは、ありませんか?後一回、手番が回ってくれば、詰ますことができたのに。なんて経験をしたことが、ありませんでしょうか。

第3章のタイトルは「一手争いについて ー 7八銀型と右銀急戦」。まさしくそんな、一手違いを扱った章になります。

タイトルにある「7八銀型四間飛車」は角交換に強い構えで、例えばこんな感じで、積極的に角交換を狙っていく構えになります。

【A図】
http://shogipic.jp/v/JjQ.png

斜め棒銀の定跡なんかによくあるように、銀に歩をぶつけつつ角交換を挑むのがベストのタイミングで、こうなってくると大抵は、飛角銀桂総交換の大きなさばきあいになったりします。よく、「船囲いvs美濃囲いにおいて、互角のさばきあいは、玉の固い美濃囲いが有利」だなんて、四間飛車の本にのっていますよね?

まさしくそれが、本章のテーマ

だと思います。7七銀型四間飛車vs右銀急戦を題材に、一手違いの寄せ合いの感覚を磨く。それが、本章です。結論から言うと、「お互い90点以上の手を指せば、確かに美濃囲いが有利」のようで、冒頭の「一手違いに泣く」メカニズムも、御察しの通り、この辺にあると思います。

おそらく、「四間飛車上達法」の中で、この章が一番難しいのではないかと思われます。藤井先生も第3章の冒頭で、こうおっしゃっています。

  • 急な上り坂になるので、途中でギブアップする方も出てくると思います。そういう場合は、次の章に進んでも構いません。
  • でも全部読み終えたら、必ずまたこの章に戻ってください。

この章が簡単だと思える日が来たら、有段者になれる日も近い?かも、しれません。

第4章

第4章のタイトルは「主導権を握ったらー 6六銀型と持久戦」。これまではvs急戦でしたが、一転して持久戦の内容になります。

藤井先生曰く、6六銀型は、持久戦全般で非常に幅広く応用されている指し方とのこと。私個人的にも、本書ではこの章の内容を、一番重宝しているかも、しれません。

メインとして扱っているテーマは「四間飛車vs玉頭位取り」ですが、「持久戦全般で非常に幅広く応用されている」のキャッチコピー(?)の通り、vs左美濃やvs居飛車穴熊なんかの指し方も、紹介されています。

こちらのエントリーなんかは、本章の内容を元に見事穴熊に勝てた実戦紹介になっておりまして、私でもなんとか指しこなせます。

とはいえ、なんだかんだいって穴熊強いですし、さすがに初級者が、本章を読めばいきなり、穴熊相手に無双しまくれるなんてことはないと思いますが・・・それでも、穴熊相手に全く手も足も出ない、なんてことはなくなるのではないかと、思います。

この章をマスターすれば、もう持久戦も怖くない?「四間飛車で相手が攻めてこない」と悩む日々からも卒業出来る?かも、しれません。

第5章

最終章となる第5章のタイトルは、「攻めエリアを拡大せよ ー 5六銀型と藤井システム」。6六銀型が「持久戦全般で非常に幅広く使える、持久戦の基本」だとすれば、5六銀型は持久戦の「レパートリー」。藤井先生曰く、「持久戦になった場合は、6六銀型をベースに、5六銀型をレパートリーに加えることで、幅広い戦い方が出来るようになる」とのこと。

それだけに本章の内容は、ちょっと高度な印象があり、初級者のうちは、まずは持久戦は4章に絞った方がよい・・・かも、しれません。

参考までに、唯一私が、本章の知識を応用出来た実戦の局面図が、こちらです。5六銀型ではありませんが・・・

【B図】
http://shogipic.jp/v/JjU.png

私が思うに、本章の真髄は、△3三角・△2ニ玉型の囲い(左美濃や銀冠、囲いの途中の穴熊など)に対し、▲2五桂で角をダイレクトに狙う点だと、思います。

B図のように、角を引かせた上で▲6五歩と突けば王手になるので、かなり強力な破壊力です。第1章にて、四間飛車(振り飛車)のメリットとして、

  • 2八の位置に玉を囲う(美濃囲い)振り飛車は、居飛車の飛車角の利きから逃れているのに対し、
  • 3八の位置に玉を囲う(船囲い)居飛車は、角の利きからは逃れ切れていない。

というものが提示されていますが・・・本章の戦法はまさしく、その角がロックオンしていることを最大限に活かした戦法であり、藤井システムの原型となっている戦法とのことです。

角の利きを最大限に活かしたい方には必見の章・・・かも、しれません。

おわりに

いかがだったでしょうか。Amazonレビューにてどなたかが、「四間飛車上達法はさしずめ、藤井先生版・四間飛車限定の『上達するヒント (最強将棋レクチャーブックス(3))』だ」というようなことをおっしゃっているのを見かけましたが、言い得て妙だと思います。その通りだと、思いました。

というわけで、本エントリーの内容は、ここまでになります。最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

参考書籍一覧

四間飛車上達法 (最強将棋レクチャーブックス)

四間飛車上達法 (最強将棋レクチャーブックス)

上達するヒント (最強将棋レクチャーブックス(3))

上達するヒント (最強将棋レクチャーブックス(3))

にほんブログ村 その他趣味ブログ 将棋へ
にほんブログ村