危険?希望?古くて新しい魅惑の定跡・4一金型四間飛車
スポンサーリンク
あなたは「4一金型四間飛車」と呼ばれる四間飛車があることはご存知ですか?4一金型四間飛車は大山康晴15世名人が愛用し、我らが藤井猛九段も研究・創意工夫していると言われる戦法です。
本エントリーでは、私が4一金型に目をつけるに至った四間飛車に対する悩みと、4一金型で解決しうる可能性について、ご紹介させていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
目次
はじめに
本戦法は、俗に「4一金型四間飛車」と呼ばれているようですが、この「4一」というのはどうやら、後手目線のようです。
本エントリーでは先手で書きますので、「4一金型」といいつつ、局面図上は「6九金」になります。あらかじめご了承いただければ、幸いでございます。
駒組みの悩み
▲3八玉か▲3八銀か
私は今まで散々、「四間飛車のメリットの一つは、序盤の駒組みが分かりやすくて簡単なこと」だと、言ってきました。これはこれでその通りなのですが、
実は今回の悩みは、まさしくその序盤の駒組み
なのです。具体的には、以下の局面図から始まります。
美濃囲いに囲うにあたって、▲3八玉から行くか・▲3八銀から行くかという、シーンです。私は▲3八銀派です。理由をご説明するために、先手を2手程進めてみたいと思います。
まずは、▲3八玉からです。一応、玉を遠方に退避することは出来ましたが、囲われてる感は全くないと思いませんか?
この状態で戦端を開かれると、かなり不安
な玉系です。
一方、こちらは▲3八銀から2手進めてみた局面図ですが、
最低限、玉が囲われている
感じがしませんか?この状態で戦端が開かれても、さっきの玉系よりは幾分ましです。というわけで、私は▲3八銀を愛用してきました。
▲3八銀の問題点
しかし、最近この▲3八銀に、課題を感じ始めました。ご説明するために、もう少し局面図を進めてみます。
C図からまた2手程進んで、▲3九玉型美濃囲いが完成した時点です。相手が左美濃囲いに構えたときは、この▲3九玉型美濃囲いの方が有利だと言われています。ですので、ここからしばらく様子見つつ、必要に応じて▲2八玉に上がるのがセオリーなのですが、
ここがまさしく、今回の悩み
なのです。一見、この▲3九玉型美濃囲いは玉の位置も深く、これはこれでそれなりに固い*1ように見えますが、(私にとって)重大な問題があります。ご説明するために、少し歩の位置を変えてみたいと思います。
お気付きになりましたでしょうか?
角で王手がかかる
のです。これまでこれを利用され、▲3九玉型美濃囲いのままで戦端を開かされ、何度か角で王手飛車取りを喰らいました。さらに問題な点は、
左美濃で来る人なんて、ほとんどいない
点です。今時持久戦で来る人は穴熊で来ますし、▲3九玉型美濃囲いのメリットが日の目をみることは、ほとんどありません。ほとんどないメリットのために王手飛車のリスクを取るのもあれですし、かといって▲3八玉(B図)のように、玉を三つも右に動かすのも、その間に仕掛けられると不安です。
私は悩みました。
解決するか?4一金型四間飛車
もう一度C図を再掲します。
色々考えた結果、ここで▲5八金と美濃囲いにいく代わりに、さっさと▲2八玉に上がってみることにしてみました。どうせ左美濃で来る人なんて滅多にいませんし、▲3九玉のままで待機するメリットも、ほとんどありません。少し駒組みを進めてみたいと思います。
片美濃囲いになりました。もう少し駒組みを進めてみます。
さらに▲5八金を遅らせ、先に端歩を突いておきました。一応、片美濃囲いでもそこそこ固いと言われていますし、何よりも王手を喰らいません*2。
・・・ここまで駒組みを進めて、はたと気付きました。
これってもしかして、4一金型四間飛車というやつ
ではないだろうかと。
4一金型四間飛車に感じる魅力
▲3九玉型のまま戦端を開かされるリスクが減るだけでも十分魅力的なのですが、やっているうちにもう少し魅力を感じて来ました。ご説明するために、もう少し局面を進めてみたいと思います。しばし、お付き合いください。
まずは普通に、飛車先を角でガードします。
はい、ここです。
ここで、▲7八銀のまま待機して▲6五歩を突き、角交換含みで鈴木システムからの攻めを狙いたいのですが、角頭を狙われるなど、▲6七銀に上がらざるを得ないシーンが、問題です。少しやってみます。
飛車に寄られたので、仕方なく▲6七銀に上がりました。
いかがでしょうか
▲6五歩から角交換が発生しても、今度は金で7七の地点をガードできます。銀で角頭を守りつつ、▲6五歩から鈴木システムを狙うことが、出来るのです。多分。
4一金型四間飛車のメリットまとめ
というわけで、まとめると、以下の可能性を感じました。
- ▲3九玉型から戦端を開かされるリスクが、減る
- すなわち、王手飛車を喰らうリスクが減る
- 鈴木システムと相性がいい?
- 金を、7八の地点のガードに回すことが出来る
- 主導権を握りやすい?
- ▲5八金(美濃囲い)、▲6七銀を保留するため、計算上、2手早く仕掛けることが出来る
- 以下、本文中では述べませんでしたが・・・
- 角を打ち込まれにくい
- 6一の地点に金がいると、かなり打ち込みに制限が発生します
- 飛車を4筋に回すことが出来る
- 攻めの幅が広がります
- 角を打ち込まれにくい
4一金型四間飛車を扱った書籍
主に攻め主体のものと、受け主体のものがあります。まずは攻め主体のものは、こちら。
- 作者: 藤井猛
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2000/05/01
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 9回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
この本には藤井システムが出て来るので、初心者にはまだ難しいかと少しお蔵入りさせていたのですが、よくよく開いて見てみると、
ほとんどが、4一金型からの攻め
になっています。私が上の方で妄想していた、4一金型から6六銀を狙う構えも、掲載されていました。ようやく、「四間飛車を指しこなす本2」に取り掛かる日が、私にもやってきたようです。
続いて、受け主体のものは、こちらです。
- 作者: 藤井猛
- 出版社/メーカー: 浅川書房
- 発売日: 2005/03/05
- メディア: 単行本
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
まんま、タイトルに4一金型四間飛車って書いてますね。こちらはどちらかというと、早めに▲6七銀と上がって、相手の急戦(斜め棒銀など)を殺しながら戦うスタイルのようです。
ポイントとしては、「四間飛車を指しこなす本」シリーズや「角交換四間飛車を指しこなす本」と違って、
次の1手形式にはなっていない
という点です。割と淡々と進んでいって、序盤の終わりぐらいで結果図に到達するので、少し上級者向けの本の印象を受けました。
おわりに
いかがだったでしょうか。ここ数戦、オンライン将棋でも独自の指し回しで4一金型四間飛車にチャレンジしていますが、今の所、意外に悪くないような気がしています。
やはり、通常より計算上2手早く動けるのは、いいですね。初心者が安易に手を出していいものなのかの見極めはまだまだですが、もう少し指して様子をみたいと思います。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。