身につけよう!初心者がハム将棋で学ぶ四間飛車・さばき編
スポンサーリンク
あなたは、将棋の重要概念「さばく」という言葉はご存知ですか?本エントリーでは、初心者にお勧めの将棋の戦法・四間飛車vs初心者向け将棋ソフト・ハム将棋を題材に、この「さばく」という概念を、初心者なりに掘り下げてみたいと思います。
「身につけよう!初心者がハム将棋で学ぶ四間飛車」というエントリーに対する、第二回目のサブエントリーになります。よろしくお願いします。
はじめに:さばくってナニ?
あなたは、「さばく」というと、どういうイメージを持ちますか?私ははじめ、「敵の攻撃をさばく」みたいなイメージを持ちました。即ち、
「三間飛車は、さばきを重視した戦法」なんて聞くと、「防御重視の戦法なのかな?」なんて、思ったりしたのですが、
これは大きな間違い
です。私の理解が間違っていないと、将棋である駒が「さばけた」というと、主にこういうことのようです。
- 主に、攻めに役立つ位置にいる。
- 攻守に役立つ位置にいる場合も、「さばけている」という。
- 遊び駒はもちろんだが、守備に縛られている駒は、あまり「さばけている」とは言わない。
駒を「さばく」方法は、いくつかあります。
- 単純に移動させる。
- 駒交換をして、いつでも好きなところに打ち込める状態にする。
- ただし、以下はあまり「さばけた」とは言わない。
- 大きく駒損をする駒交換。
- こちらの不利な位置に相手の駒が残る状態での駒交換。
- 相手の陣には交換した駒を打ち込む隙がなく、こちらの陣には打ち込む隙が多い。
- ただし、以下はあまり「さばけた」とは言わない。
- こちらの駒を抑え込んでいる相手の駒を、どかす。
などなど。要するに、大きく言えば、働きの悪い駒を、働ける状態にすること全般を、「さばく」と言っているのであろうと、初心者ながらにChibaは理解しました。
それを踏まえ、前回のエントリーの結果図をご覧ください。
ここからの目標は、究極的には「相手の駒をさばかせずに、自分の駒をさばくこと」になるわけですが、とりわけ、四間飛車vs棒銀を始めとした各種居飛車急戦の場合は、以下の二つが目標になることが多いです。
- 相手の銀を働かせない
- 即ち、相手の銀をさばかせない
- 味方の飛車角を働かせる
- 即ち、味方の飛車角をさばく
この「銀をさばかせない」「飛車角をさばく」が即ち、四間飛車のセオリーにおける、以下の二つに相当することになります。
- 銀を五段目に進出させない
- 角交換→飛車交換を挑む
前置きが長くなってしまいましたが、これを踏まえまして、前回の結果図から続きを指していきたいと思います。
棒銀を受け切る
というわけで、△7五歩に対して、▲同歩と取ってはいけません。△同銀とされると、銀が五段目に進出してきて、
相手の銀がさばけてしまいます
角を逃すしかありませんが、8八に逃すと追撃されるだけなので、5九に逃がしましょう。この▲5九角は、vsハム将棋のみならず、vs棒銀の定跡としてメジャーです。
ハム先生は歩がぶつかると律儀に取りに来ますが、ここは▲同飛の一択です。通常のvs棒銀の定跡だと、▲同銀することが多いのですが、現時点でそれをやると、
角が突っ込んで来てしまいます。
▲7六同飛すると、飛成を防ぐために、ハム先生は大体7三に歩を打って来ます。この地点に歩を打つと、確かに飛成は防げますが、
銀がさばけていません
前に進めば取られますし、後ろには引く場所がありません。こうなっては棒銀は失敗ですので、飛車は一旦引いておいて問題ありません。
第2波に備える
棒銀に失敗した後のハム先生の狙いは、大体6筋ですが、若干インターバルがあります。角を回転し(▲4八角)、角道を開けて(▲5六歩)、6筋の攻めに備えましょう。
この角の回転も、vs棒銀の定跡です。
ついにハム先生が6筋を攻めて来ましたが、やっぱりこの歩も▲同歩してはいけません。
▲9九角成を喰らってしまいます
というわけで、後一歩6筋の歩を引きつける必要があります。この、「十分に引きつけてから、カウンターをお見舞いする」のが、四間飛車らしい戦い方だとかなんだとか。
こういうときの四間飛車側の待ち方は主に以下の二つがありますが、
- 香を上がる
- 将来角が直撃して、香を取られるのを防ぐ目的があります。
- ▲4六歩から高美濃囲いを目指す
- 将来5筋から反撃したりとかします。
ハム先生には、前者がお勧め
です。というか基本的に前者→後者がお勧めなのですが、特にハム先生の場合、高美濃囲いに組み替えると空いたスペースにめんどくさい駒打ちをされることが多いです。ですので、美濃囲いのまま戦った方が楽です。
というわけで、▲9八香の香上がりに対し、ついにハム先生が△6六歩と突いてきました。
反撃を開始する
第7図の△6六歩にはどう対応するべきでしょうか?角の利きがあるので▲同銀とするのも一つの手ですが、そうすると△6ニ飛と回られたりとか、△6五歩と打たれたりとかすると、ちょっと困ってしまいますね。角に睨まれているので、身動きできません。ということで、ここで
大駒をさばきにいってみます
通常は大駒交換を拒否られることもあり得ますが、ハム先生は大抵拒否りません。
これで銀は自由の身で、角も持ち駒に出来ました。
角交換をすると銀で3三を塞ぎに来るのもハム先生の伝統芸みたいですが、こちらは自由の身になった銀を進軍させます。
「紐」の付いていない銀を狙って△6ニ飛と回って来ますが、落ち着いて▲6四歩と打っておけば問題ありません。
▲6四歩に対して△6三歩とあわせて来ますが、今度は▲同歩成ととって問題ありません。当然△同飛と来ますが、迎撃可能です。
▲6四歩で飛車を追い返し、ついにハム先生の飛車を抑え込むことに成功しました。