四間飛車党と相振り飛車と飛車の位置

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あなたは四間飛車を愛していますか?そしてそれ故に、相振り飛車になったときに飛車の位置をどうすべきか、悩んでいたりしませんでしょうか。本エントリーでは、いくつか考えうる飛車の位置について、私なりの試行錯誤をご紹介させていただければと思います。

同じような課題に悩む方の何かしらの参考にでもなりましたら、幸いでございます。

はじめに

四間飛車党にとって飛車の位置を悩むシチュエーションは、いくつかあると思います。例えば、これ。

【A図】
初手からの指し手:△3四歩▲7六歩△4四歩
http://shogipic.jp/v/HSF.png

自分が後手番の場合です(表記上は先後逆です)。△8四歩かなと思ったら△4四歩とこられた場合。▲6六歩と真っ向から同型でぶつかる選択肢もあれば、▲6八飛と先んじて飛車を振り、角交換四間で挑む手もあれば、一般に「相振り飛車で特が多い」と言われる向かい飛車や三間飛車を目指す手も、あり得ます。

あるいは、これ。

【B図】
初手からの指し手:△5四歩
http://shogipic.jp/v/3HD.png

初手△5四歩とくれば、ほぼ中飛車です。こちらのエントリーにある通り、飛車角交換を恐れずに四間飛車で挑む手もあれば、「中飛車には取りあえず三間」と言われる三間飛車を目指す手も、あり得ます。

しかし何と言っても、まずはこれではないでしょうか。

【テーマ図】
初手からの指し手:▲7六歩△3四歩▲6六歩△3五歩
http://shogipic.jp/v/24I.png

初手▲7六歩〜▲6六歩は、ノーマル四間飛車として最も自然・オーソドックスな進行であり、それに対して△3五歩と突き越され、「相振り飛車のお誘い」を受けるシチュエーションです。

というわけで本エントリーでは、

  • テーマ図から自然に移行出来て、
  • ノーマル四間飛車党にとってなるべく違和感なく指し回せる即ち、
    • なるべく万能性があるつまり、A図やB図のシチュエーションでも使えて、
    • 乱戦になりにくい、
    • しっかりと玉を囲い、じっくりと駒組みを進めることが出来る

飛車の位置はどこなのか?について、いくつかの候補を検討してみたいと思います。よろしくお願いいたします。

藤井流向かい飛車

あえて、「藤井流」と付けてみました。私の相振り飛車の原点となる基礎知識は、こちらです。

相振り飛車を指しこなす本〈1〉 (最強将棋21)

相振り飛車を指しこなす本〈1〉 (最強将棋21)

藤井先生の「相振り飛車を指しこなす本」シリーズは、先手向かい飛車vs後手三間飛車にテーマが絞られています。テーマ図からの代表的な進行は、こんな感じです。

【第1図】
テーマ図からの指し手:▲7八銀△3ニ飛▲6七銀
http://shogipic.jp/v/24L.png

お相手が三間飛車に振っている間に銀を上がり、

【第2図】
第1図からの指し手:△3六歩▲同歩△同飛
http://shogipic.jp/v/JG7.png

飛車先の歩を交換して、

【第3図】
第2図からの指し手:▲3七歩△3四飛▲7七角
http://shogipic.jp/v/JG8.png

お相手が浮き飛車に構えている間に角を上がり、

【第4図】
第3図からの指し手:△6ニ玉▲8八飛
http://shogipic.jp/v/JG9.png

お相手が玉を囲みに入ったあたりで、向かい飛車に振ります。一頃は、「相振り飛車では向かい飛車が一番有利」と言われていました。

向かい飛車に感じる課題その1:△5五角問題

おそらく向かい飛車で一番最初に立ちはだかる壁が、これではないかと思われます。第4図のように向かい飛車に振るところまで行けば、この後は比較的安定して駒組みできますし、大体8割くらいは先手ならそうなりますが、たまにこうなります。

【C図】
第1図からの指し手:△3六歩▲同歩△5五角
http://shogipic.jp/v/JGA.png

これには「飛車角交換」と、「飛車を振らせない」という、二つの狙いがあるのではないかと思います。・・・相振り飛車のお誘いをしといて「飛車を振らせない」というのも変ですが。▲1八飛も微妙ですし、それ以外の位置に飛車が動けば、馬を作られてしまいます。

すんなりと飛車を取ってくれればまだ「序盤は飛車より角」なんて格言もありますが、飛車取りを保留して駒組みを進められると、結構面倒くさいです。保留されたところでどのみち飛車は動けません。勢い、▲6五歩とか▲5六銀から飛車取りを催促することになりますが、割と乱戦・力戦待った無しです。特に、「玉より飛車を可愛がる」初級者の段階では、なかなかに辛い展開です。

向かい飛車に感じる課題その2:攻め足の遅さと万能性

向かい飛車は、▲7六歩〜▲6六歩と突いてから▲8八飛と振り、改めて8筋の歩を突き始める都合上、どうしても攻め足が遅くなりがちです。まっすぐ3筋の歩を突いてくる三間飛車や、5筋の歩を突いてくる中飛車に比べると、攻め足の速さは歴然です。

特に後手番だと顕著で、例えばB図からダイレクトに向かい飛車に行こうとするとなかなかに難しいところです。というわけで、テーマ図以外の相振りにも万能的に使える飛車の位置かというと、今の所少し課題を感じています。

(西川流)四間飛車

最近では、「西川流」と呼ばれる相振り四間飛車戦法があるそうです。・・・とはいえ、書籍が発売されたのは早、4年前みたいですが。

これからの相振り飛車 (マイナビ将棋BOOKS)

これからの相振り飛車 (マイナビ将棋BOOKS)

こちらは先手四間飛車vs後手三間飛車を念頭に置いたもので、代表的な局面図は以下のようです。

【D図】
http://shogipic.jp/v/JGD.png

早々に8筋の歩を伸ばすわりに四間飛車に構えるという、ご本人自ら「違和感もあると思う」なんておっしゃるいでたちです。書籍をパラパラとめくってみると残念ながら△5五角問題からは逃れられないみたいなのですが、よくよく考えてみると、

【第5図】
テーマ図からの指し手:▲7七角△3ニ飛▲6八飛
http://shogipic.jp/v/JGE.png

銀を上げずに角を上げてから、四間に振るという手もあるような気が、してきました。これだと△5五角問題を喰らうこともないですし、横歩取り問題も喰らいません。どういうことかというと、

【第6図】
第5図からの指し手:△3六歩▲同歩△同飛
http://shogipic.jp/v/JHu.png

飛車先の歩を交換した時に、△6六飛と突っ込んで来づらいです。これが飛車の位置が7八とかだと、△6六飛▲同角△同角で「序盤は飛車より角」の馬作られ待った無し、乱戦チックになりますが、飛車の位置が6八だと一応、その心配もありません。ここから、歩の2枚交えをするなどして向かい飛車を狙う手なんかも、ありえますし、後手番の時は▲7七角を後回しにすれば、なんとかなりそうです。

・・・あれ、なんだか意外と悪くない気が

石田流本組み

私の理解が正しいなら、石田流本組みとは、以下のような駒組みの三間飛車です(面倒臭いので、後手は初期配置のままです)。

【E図】
http://shogipic.jp/v/JHw.png

三間飛車というと、最近では角道を止めない駒組みが主流だと思いますが、ご覧の通り、角道を止めた三間飛車です。ですので、テーマ図のように角道を止めてからでも、移行可能です。滅多に見ないのですが、何度かオンラインで対戦したことがありまして、コテンパンに負けました

最初は「三間飛車なのに角道を止めるなんて、逆にオシャレだなぁ」程度に物珍しく見ていたのですが、なすすべなく負けてしまったのに驚くと同時に、「これは使えるかも?」と思いました。

向かい飛車と比べた場合:攻め足の軽さと万能性

一手目に突いた▲7六歩から飛車先を伸ばしていく都合上、改めて8筋の歩を伸ばす向かい飛車と比べると、当然攻め足は軽いです。なので、後手番でも気になりません。また、中飛車や四間飛車相手にも問題なく組め、特に四間飛車相手だと、9七の角が間接的に相手の飛車に当たるため、ウッカリさん相手には効果絶大と、比較的万能性もあります。

ですので、「対抗型の四間飛車に相振り飛車の石田流本組み」の二大戦法で行こうかな、なんて思っていた時期も、ありました。対抗型でも四間飛車から途中で石田流に組み替える戦法なんかもありますし、ノーマル四間飛車党にとっては違和感のない組み合わせかな、と思うのです。

しかし、最近指していて、石田流本組みにもこれはこれで、課題を感じるようになってきました。

石田流本組みに感じる課題その1:実はテーマ図からの移行には課題が

そうなんです、実はテーマ図からすんなり移行出来ない可能性があります

▲6七銀と上がってから石田流本組みに行こうと思えば、向かい飛車同様△5五角問題を喰らう可能性がありますし、飛車を振ってから石田流本組みに行こうと思えば、前述の横歩取り問題を喰らう可能性があります。

ただまぁ、ここは向かい飛車と比べて取り立てて失点というわけでもないかと、思います。先に▲6七銀と上がるパターンだと、リスクは向かい飛車の場合と同様です。

石田流本組みに感じる課題その2:飛車の働きがイマイチ疑惑

E図を見れば想像がつくかもしれませんが、飛車角の利きが微妙に交わっていません。角・銀・桂の利きの交点を考えると、6筋や5筋あたりが結構狙い目なのですが、飛車の利きは7筋に向いています。

相振り飛車で7筋って結構固いんですよね。大体玉・銀・桂の三つは最低効いているので、結構突破が困難です。飛車に合わせて7筋に銀・桂の利きを持って来ようとすると、今度は角の利きが交差しませんし、そこまでして利きを持ってきても意外に固かったりします。

攻め足が軽い分、狙いを防がれると攻めあぐねる面もあるのかな・・・という気が、してきました。もっとも、私が三間飛車の仕掛けにあまり慣れていないだけの可能性も、大いにあるのですが。

石田流本組みに感じる課題その3:端攻めが狙いづらい疑惑

同じくE図を見れば想像がつくかもしれませんが、角が9七いて、香の利きを遮っています。向かい飛車だと、攻め手に困ったり2歩手に入ったりしたら▲9五歩△同歩▲9四歩とかやってみたりするのですが、石田流本組みでこれをやろうとすると、角が邪魔です。飛車が角頭を守っているので相手の歩・香に突っ込まれる心配はありませんが、おかげで▲8六歩とか突いちゃうと一瞬飛車の横利きが遮られ、ちょっと困ったことになってしまいます。

というわけで、相手に振り飛車穴熊とかに構えられると、地味に痛くなったりします。

おわりに:2大戦法か3本柱か

いかがだったでしょうか。最初は、「対抗型の四間飛車に、相振り飛車の向かい飛車」で2戦法に絞れないかな、と思っていました。藤井先生の「相振り飛車を指しこなす本〈1〉 (最強将棋21)」は私の相振り飛車の原点ですし、なんだかんだで相振りで向かい飛車は有力です。

しかしそのうちに先手中飛車に困るようになり、先手中飛車にはとりあえず三間に振っとけば勝てるかはさておき、乱戦は避けれそうな気がしていたところに、石田流本組みとの出会い。「これはいけるかも」と思っていたところ思いの外伸び悩み、巡り巡って意外に相振り四間なら△5五角問題もクリアできるかも、と思えてきて今に至ります。

少し堂々巡りになってきたので、次回は一旦、囲いについて考えてみたいと思います。最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

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