我らが天帝の新帝王学・四間飛車上達法を学ぼう!
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あなたは、藤井猛九段の新書・四間飛車上達法はもう入手しましたか?本エントリーでは、ついに私の手元に届いた同書について、さっそくかいつまんで内容を紹介させていただきたいと思います。
はじめに
以前のエントリーにてご紹介させていただきました我らが藤井先生の新四間飛車本・「四間飛車上達法」が、ついに私の手元に届きました。
- 作者: 藤井猛
- 出版社/メーカー: 浅川書房
- 発売日: 2017/12/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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届いて数日なのでまだ精読出来た訳ではありませんが、まずは章立てやぱらぱらとめくってみたファーストインプレッションをご紹介させていただきたいと、思います。よろしくお願い致します。
章立て
章立ては、以下の5章構成になっております。
- 対抗形とは何か
- 攻めについて
- 一手争いについて
- 主導権を握ったら
- 攻めエリアを拡大せよ
これだけを見るとバリバリの「攻めの四間飛車」の本に見えますが、実際は2章と3章がvs居飛車急戦、4章と5章がvs居飛車持久戦の内容になっています。
私として特徴的かなと思った点は、左銀の位置を中心に章立てを組み立てている点です。これまでも「XX銀型四間飛車」なんて表現はいろんなところでされていたと思いますが、ダイレクトにそれで章立てされているのは少ないのではないかと思います。先ほどの章立てにサブタイトルを入れてみると、こうなります。
- 対抗形とは何か ー 駒組みの基本と隠された仕組み
- 攻めについて ー 6七銀型と棒銀
- 一手争いについて ー 7八銀型と右銀急戦
- 主導権を握ったら ー 持久戦と6六銀型
- 攻めエリアを拡大せよ ー 5六銀型と藤井システム
それぞれ、見ていきたいと思います。
第1章
以前のエントリーにてご紹介させていただいた通り、本書には「聞き手」が存在します。その「聞き手」が藤井先生に質問する「講義形式」で、話が進んでいきいます。
「振り飛車は損な戦法だ」と言われるのは何故ですか?
なんて、いきなり超刺激的な質問から始まります。ちまたでは「不利飛車」なんてディスられることもあるみたいですが、きっと先生もアマチュアの方からよく質問されるんでしょう。
本章では、先ほどの質問に続き、藤井先生の振り飛車に対する思いや戦略・戦術としての基本的な考え方、「何故、左銀の位置・動かし方が重要なのか?」などなどについて説明されており、以降の章に対する序章的な位置付けになっています。
第2章
第2章では、vs棒銀を題材に、6七銀型四間飛車について解説されています。銀が6七の位置にいる特性として、
- 角交換に弱くなる
- 飛車先が重くなる
- 代わりに、飛車が横に自由に動けるようになる
- 角頭攻撃に強くなる
状態となり、それを活かして棒銀と戦うのが、本章の内容です。vs棒銀というと四間飛車側は守り中心のイメージですが、サブタイトルは「攻めについて ー 6七銀型と棒銀」となっています。しかし、「棒銀相手に積極的に攻めていこう!」という内容では、ありません。
受けに回ることが素晴らしい攻めになることもある
なんて名言が、いきなり飛び出します。炸裂する圧倒的な藤井理論の数々です。内容としては、本サイトでもご紹介させていただいている「四間飛車vs棒銀基本形」からの変化の数々が講義形式で紹介されていますが、ぱっとみ、「四間飛車を指しこなす本〈1〉 (最強将棋塾)」には掲載されていない変化や局面図も、多く見受けられます。あの頃にはなかった新しい変化というよりは、「四間飛車の醍醐味をなんとか分かりやすく伝えたい」という腐心の表れではないかという、印象を受けました。
vs棒銀から始まっているのもいいですね。やはり初心者にとっては、棒銀対策は重要な課題ではないかと思います。
第3章
第3章では、vs右銀急戦を題材に、7八銀型四間飛車について解説されています。「右銀急戦」とは聞きなれない単語ですが、斜め棒銀のように、△6四銀から攻めてくる急戦のようです。斜め棒銀との最大の違いは、下記局面図のように、
右銀を使って、△6四銀から攻めてくる点です。一般的に、△5三銀と上がると、そこから穴熊を狙う「持久戦」が多いですが、「持久戦を見せつつ、一転して急戦に来る」ような形になるところが、この戦法の特徴だとか。いかにも現代的な急戦かなという気がします。
それに対して7八銀型四間飛車の特徴は、
- 角交換に強い
- それを活かして、積極的に角交換を挑む展開を狙える
ということです。一応、分類的にはvs急戦ということにはなっていますが、つまりはこの章の内容は、
vs急戦とvs持久戦の中間的な内容
と言えるかもしれません。居飛車側は△5三銀と持久戦含みの駒組みですし、四間飛車側も、「お前が持久戦に行くならこっちは積極的に角交換挑むぞ」的な、攻め含みの陣形です。
以降の章からは、居飛車側はだんだんはっきりと持久戦思考になり、四間飛車側は攻めが過激になってきます。
第4章・第5章
急戦・持久戦ハイブリッドな様相だった第3章に対し、第4章以降は、完全にvs持久戦がテーマになります。最終章の藤井システムに対する私の理解が全然追いつかないため、ここはまとめてご紹介させていただければと思います。まことにすみません。
vs持久戦における独断と偏見で選んだ本書の名言は、ずばりこれです。
守りにかける手は基本的に価値が高いが、攻めにかける手はそれだけでは価値がない
守りにかける手は、囲いが進展するなど確実にポイントが稼げるのに対し、攻めにかける手は、「成果を出してこそ」という面があるからだとか。
つまり、vs急戦というのは、「はっきりと成果を出さないと厳しい居飛車vs基本的に価値が高い手を積み重ねることが出来る四間飛車」というのが藤井理論みたいです。こう書くと、四間飛車側が有利っぽく見えますよね。
一方、vs持久戦というのは、「お互い、基本的に価値が高い手を積み重ね続ける」状態であり、ほっとくと「相手の方がはるかに堅い囲い(穴熊)になっていて、自分からは全く手が出せない」状態になります。故に、「はっきりと成果を出さないと厳しい四間飛車vs基本的に価値が高い手を積み重ねることが出来る居飛車」という逆転現象が起きてしまうのが、vs持久戦の難しいところみたいです。
これを打破するための駒組みが「6六銀型」「5六銀型」の四間飛車で、両者とも完全に攻めの陣形になります。6六銀型と5六銀型の基本的な違いは、以下とのこと。
- 6六銀型は5筋を狙い、5六銀型は4筋を狙う
- 6六銀型は一旦飛車・角の利きを止めて一気に解放する重厚な攻めが持ち味
- 五六銀型は飛車・角の利きを止めない、軽快な攻めが持ち味
ぱっとみ、6六銀型は高美濃囲いに組み替えてから攻めているので、初心者にも組みやすいか??と、思いました。
おわりに
従来の四間飛車の定跡本は「急戦編」「持久戦編」とバツっと分かれているものが多かったと思います。しかし、実際の実戦では、相手が急戦か持久戦かなんていきなり見分けはつきません。
まずは急戦で来られても対応出来るよう、最低限の囲いを組みつつ、「あれ?攻めて来ないのかしら?」という気配が見え始めたら、徐々に攻めの構えを強めて行くのが、四間飛車の自然な流れではないでしょうか。
そういう意味でいうと、本書の「急戦→急戦と持久戦のハイブリッド→持久戦→藤井システム」という流れは、この「実戦の状況変化の流れ」を意識したものなのかな、という印象を受けました。
「細かい手順を身につける」というよりは、考え方や指針・センスなどをなんとか伝えようとした意欲作なのかな、という印象です。
なにぶん、ぱらぱらとめくってみた上でのファーストインプレッションなので、理解が間違っていましたら大変すみません。最後まで読んでいただいてありがとうございました。
- 作者: 藤井猛
- 出版社/メーカー: 浅川書房
- 発売日: 2017/12/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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