逆に驚き?四間飛車vs山田定跡・衝撃編の中盤

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△8六歩から始まる、驚愕の戦法・山田定跡の真骨頂とも言える、衝撃的な定跡の数々。逆に言えば、あまりにインパクトが強すぎて、一度見れば二度と忘れないかも、知れません。

本エントリーでは、私が独断と偏見で認定した、インパクト絶大の山田定跡の中でも特に衝撃的だと思われる有力変化について、その定跡を整理してみたいと思います。

まさに驚愕!四間飛車vs山田定跡・衝撃編というエントリーに対するサブエントリーの、前編になります。

定跡の結果図まで

【第1図は四間飛車vs山田定跡基本形】
http://shogipic.jp/v/HTa.png

ここまでの手順に関しては、こちらのエントリーをご参照ください。冒頭でも触れましたが、

【第2図は8六歩まで】
△8六歩
http://shogipic.jp/v/6SA.png

四間飛車vs山田定跡の基本形から、△8六歩と攻めてくるのが、この変化の起点になります。一般的な定跡だと、こういう風に歩がぶつかったときに、素直に▲同歩と応じると、大抵大変なことになります。棋史に名を残す名定跡・山田定跡ではどんな妙手が飛び出すかと言うと・・・

【第3図は△8六同銀まで】
▲8六同歩△同銀
http://shogipic.jp/v/HTX.png

普通に▲同歩です。

逆に驚きませんか?

いや、決してディスって言っている訳では、ありません。当然△同銀と相手の銀も出てきますし、これを▲同銀と取っちゃうと飛車が突っ込んできてしまいます。普通に考えて、それは大ピンチです。そうはさせない、どんな逆転の妙手が飛び出すのかと、逆にワクワクします。ワクワクしますが・・・

【第4図は▲8六同銀まで】
▲8六同銀
http://shogipic.jp/v/HTY.png

またもや普通に同銀です。

実戦ではやってしまいそうですが、「次の1手」形式でこの問題が出てくると、ついついひねった答えを想像してしまいそうです。

【第5図は△8六同飛まで】
△8六同飛
http://shogipic.jp/v/HTZ.png

当然飛車が突っ込んできますが・・・

【第6図は▲7七角まで】
http://shogipic.jp/v/6eh.png

ここでついに切り替えします。飛香両取りなので、仮に飛成されてもこちら側も玉のすぐ近くに馬を作れ、しかも△9九龍とこちらの香を取られるのを防いでいます。







・・・と、思いませんでしたか?

【結果図は▲8八飛まで】
△8九飛成▲8八飛
http://shogipic.jp/v/6ei.png

ここで飛車交換を挑みます

確かに、角交換〜飛車交換を狙うのが、四間飛車のセオリーですが、ここでこういう形で狙うとはちょっと思いつきませんでした。脱帽です。

参考までに、▲1一角成に行っちゃうと、△2ニ銀を打たれて、せっかく作った馬の行き場所がなくなってしまいます。

この後、山田定跡側には、

  • 飛車交換に応じる
  • 飛車交換を拒否する

の2種類の選択肢があり得ます。果たしてどちらが最善手なのでしょうか?後編では、この局面から将棋ソフトの1手分析機能にかけ、お互い最善を尽くした場合、四間飛車側に勝ち筋はあるのか?について、検証していきたいと思います。

おまけ:あのとき▲7四歩を突かなかったら?

【A図は△6四銀まで】
△6四銀
http://shogipic.jp/v/8Ck.png

A図は、四間飛車vs山田定跡の基本定跡の第4図の再掲です。

銀が進出してきているこの非常時に、▲7四歩と放置して進めるのが、この局面図の正解でした。例えばここで、銀を放置せずに、

【B図は▲6五歩まで】
▲6五歩
http://shogipic.jp/v/HWN.png

このように、銀を咎めつつ角交換を挑んでいたらどうなっていたか?を、おまけとして紹介させていただきたいと思います。

実のところ、結果は本エントリーの結果図とほとんど同じになります。手順もほぼ同じです。以下は、山田定跡側が飛車交換に応じ、その後、再度の角交換を経て、四間飛車側が飛車を打ち込んだ局面です。

【C図は▲8ニ飛まで】
http://shogipic.jp/v/6ew.png

しかし唯一違うのが、

7筋の歩が▲7四歩ではなく▲7六歩になっている

点です。大した違いはないように見えますが、実はこれが大問題で、こうなります。

【D図は△3六桂まで】
△7三角▲8一飛成△3六桂
http://shogipic.jp/v/6ex.png

美濃囲い崩しを喰らってしまいました

いわゆる頓死ってやつです。▲7四歩は、▲8ニ飛を打った時に、桂の逃げ道を塞いでいただけではなく、この△7三角打ちを防ぐためのものだったのです。

山田定跡って、とっても考え抜かれていると思いませんか?

おわりに

いかがだったでしょうか。一見意味不明な手が飛び出したかと思ったら、今度は逆に普通すぎて驚いたり、かといえばその一見意味不明な手が後で重大な意味を持っていたり。さすがは、棋史に残る名定跡だと思いませんか?

・・・というわけで、本エントリーの内容はここまでになります。最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。後編も、お楽しみに!


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参考書籍

四間飛車を指しこなす本〈1〉 (最強将棋塾)

四間飛車を指しこなす本〈1〉 (最強将棋塾)

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