相振り飛車でも四間飛車を指しこなしたいあなたへ
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あなたは相振り飛車でも四間飛車を指しこなしたいと思ったことはありませんか?一般的に相振り飛車で四間飛車は得が少ないとされ、それを扱った書籍もほとんどありません。
本エントリーでは、私なりのリサーチで、相振り飛車における四間飛車の可能性について、探ってみました。
はじめに
序盤からお互い飛車を盤上左側(左から2列目〜5列目)に振り合う「相振り飛車」では、一般的に、向かい飛車(飛車を2列目に振る)か三間飛車(3列目に振る)が得が多く、王道と言われて来ました。一昔前は向かい飛車が一番有利だと言われていましたが、最近では三間飛車の地位が向上しているそうです。
しかしです
同じ「相振りで得が少ない仲間」で、しかも最も得が少ないと一昔前までは言われていた中飛車には、
- 作者: 鈴木大介
- 出版社/メーカー: 浅川書房
- 発売日: 2010/07/01
- メディア: 単行本
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こんな本があったりなんかします。「中飛車には取り敢えず三間に振っとけ」なんて言われていた時代があったみたいですが、実際、私はvs中飛車が苦手です。対戦成績も良くはありません。お相手の方も、実に堂々と中飛車に振って来ます。
そんな中で、我ら四間飛車だけが、「やっべ。。。お相手の方飛車振っちゃったよ。。。さて、どうすっぺか。。。向かい飛車でいくか、三間飛車でいくか」なんていうのは、じくじたる思いがします。我ら四間飛車党も、たとえ相手が相振り飛車を挑んでこようとも、
堂々と四間飛車に振りたいと思いませんか?
頼みの綱である藤井猛九段の書籍ですら扱っていないこの難テーマを、諦め掛けていた私でしたが、最近一筋の光明を見つけました。
- 作者: 杉本昌隆
- 出版社/メーカー: マイナビ
- 発売日: 2015/04/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この本自体は帯にあるように、「三間飛車・美濃囲い・端攻め」がメインテーマなのですが、四間飛車の手筋もほんのちょっぴりだけ扱われています。それでよくよく思い返してみたのですが、私って
vs四間飛車の成績もあまり良くない
んですよね。vs棒銀とか、向かい飛車vs三間飛車みたいなオーソドックスな相振り飛車に比べ、vs四間飛車(相振り)の成績が飛び抜けて悪いんです。
もしかしたらと思って、この本の内容を元に相振りでも四間飛車を指してみたのですが、意外と悪くないんですよね。確かに定跡もあまりなく力戦調にはなりますが、得意ではない向かい飛車や三間飛車に振るよりはましです。
前置きが長くなってしまいましたが、そんな我ら四間飛車党が切望して止まない(?)「相振り四間飛車」について、私が得た知識をご紹介させていただけましたらと思います。
囲いは▲3九玉型金美濃囲いで
相振り飛車における囲いというと一昔前は金無双一択、最近は美濃囲いが人気で、手数はかかるものの矢倉や穴熊も有力といった感じかと思います。
しかし、「必修!相振り戦の絶対手筋105 (マイナビ将棋BOOKS)」では、「金美濃囲い」が相振り四間飛車と相性がいいと紹介されていました。少しマイナーな囲いなのでご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんが(私も知りませんでした)、こんな囲いです。
4八に銀、3八に金がいるのが特徴で、左辺の金は、△4一金型四間飛車チックに、状況に応じて囲いを強化したり、8筋に使ったりします。美濃囲いや金無双と比べると、以下の特徴があります。
- 組むのにかかる手数が少ない(金無双より少ない!)
- (主に美濃囲いに比べ)上からの攻めに強い
- (主に金無双に比べ)右側の銀が玉の逃げ道を塞がない
- (主に金無双に比べ)1段飛車にもそれなりに対応出来る
そこまで堅い囲いというわけではないのですが、
- 素軽く囲えて、
- 玉の逃げ道もあり、
- 上部の防御力がある
のがウリの囲いです。
後手番では角道オープンも視野に
例えば、以下のような局面です。例によって例のごとく、諸般の都合で先後逆、つまり後手を下に書きます。
今、お相手の方が△3四歩〜△4四歩と、出だしで角道を閉じて来たとします。この出だしは8割くらい、角道を閉じる「ノーマル四間飛車」を狙っていると見なせます。こちらも▲6六歩と、普通に四間飛車の駒組みをしても良いのですが、同じように駒組みしたら、後手なのでちょっと不利ですよね。そこで!
角交換四間飛車チックに、いきなり飛車を振ります。これはお相手の方、面喰らいます。多分。なんせ次に自分が四間飛車に振ろうとしていたところを、先んじて振られたわけですからね。「このまま四間飛車に振るか?それとも、相振りで最も有利と言われる向かい飛車に行くか?」と、悩むのではないかと思います。
最終的にはこの後、金美濃囲いを完成させてから、▲6六歩〜▲6五歩と飛車先の歩を伸ばすのを狙うのではありますが、せっかくなので心理戦を仕掛けておくのも楽しいです。
狙ってみよう!連続歩交換
そこまで凄く有利になる必殺技というわけでもありませんが、相振り四間ならではの面白い技があります。
6筋と8筋の歩を同時に伸ばします。
首尾よく歩を取ってくれたら、今度は6筋の歩を突き捨てます。
飛車先の歩交換に、歩で塞ぎに来てくれたら成功です。
歩を2枚持ち駒にしつつ、向かい飛車に配置転換することに成功しました。だからなんだと言われると困りますが、面白くないですか?
歩が2枚あるなら端攻めも狙えますし、相振り四間なら一度は狙ってみたい手筋です。
中飛車相手には飛車角交換を覚悟しよう
四間飛車の飛車の位置と中飛車の攻撃ラインから考えて、飛車角交換を狙われると阻止するのが難しいです。恐れずに飛車角交換するしかありません。
先手中飛車vs後手四間飛車、先後逆の局面図で少しやってみたいと思います。
中飛車の出だしは一目見て分かりますね。覚悟を決めて角道を開けましょう。
飛車を振ってきたら、振り返しましょう。
端角に来る人は多分、「しめた!」と思っているかもしれません。構わず金美濃囲いに囲いましょう。
歩が突っ込んで来ても、囲いを続行しましょう。
飛車を取られたら銀で取り返しましょう。
飛車先の歩の交換から浮き飛車に構えてくれたら、しめたものです。
確実に馬を作ることができます*1。我ら初心者がこよなく愛する飛車を開始早々取られるのはショックが大きいですが、
「序盤は飛車よりも角」なんていう格言もあります。2枚飛車とはいえ、結果としてほぼ何の駒組みも進んでいない中飛車に対し、馬がある上にすでに囲いが万全で中央のガードは鉄壁状態の四間飛車。飛車角交換を恐れなければ、中飛車相手にも、なんとか相振り四間で駒組み出来そうな気がします。
おわりに
というわけで、本エントリーの内容はここまでになります。最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
いかがだったでしょうか?確かに、本エントリーの内容で、相振りで四間飛車が無茶苦茶有利になるということは、ないかもしれません。しかし、特に初級のうちは、無理に相振り用に向かい飛車や三間飛車を覚えなくても、なんとかなる気がしてきました。
vs居飛車も相振り飛車も、「なんでも四間飛車」で指せる喜びは、プライスレスです。あなたも「相振り四間飛車」に挑戦して見ませんか?
2018/3/1 追記
こんなカテゴリーも初めてみました。
本エントリーの参考書籍である「必修!相振り戦の絶対手筋105 (マイナビ将棋BOOKS)」では、相振り飛車四間飛車に相性のいい囲いとして「金美濃囲い」が紹介されていますが、こちらのエントリーなどで自分なりに考えてみた結果、個人的にはやはり、相振り飛車には二枚金の方がいいのかな、なんて気もしています。何かの参考にでもなりましたら幸いでございます。
*1:引き飛車に構えても出来ますけど、まぁさておき。