知っていますか?四間飛車で中盤攻める第三の戦法
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あなたは、四間飛車で攻められないと悩んだことはありませんか?本エントリーは、「四間飛車で攻められないあなたへ」に続く、私なりの試行錯誤のご紹介第二段になります。
第二段では、そもそも「攻める四間飛車」には何があるのかについて、整理してみたいと思います。よろしくお願いいたします。
第一の戦法:藤井システム
四間飛車で攻めると言えば、やはりまず第一には藤井システムではないでしょうか。現代四間飛車の第一人者・藤井猛九段の名を冠し、一世を風靡しました。現在では藤井システム対策もかなり進んでしまったみたいですが、それでも一定量は指されていると聞きます。
藤井システム最大の特徴といえば、
居玉のままで、玉を囲わずに、積極的に攻める
ということではないでしょうか。四間飛車の天敵である居飛車穴熊に対し、穴熊に組ませる前に攻めるのが、そのコンセプトだと思います*1。つまり、
藤井システムは、序盤から攻める四間飛車
と言えると思います。本エントリーのテーマである中盤では、なく。ここが初心者には、難しいところではないでしょうか。持久戦と見せかけて一転急戦で来られるなどすると、なすすべがなくなる可能性があります。
藤井九段本人も「藤井システムのコツを知りたければ、まずはノーマル四間飛車を5年やってから」なんて発言をされていますし、「攻められないのが悩み」だからといって、初心者がおいそれと手を出せるような易しい戦法では、なさそうです。
第二の戦法:角交換四間飛車
藤井システムに続く第二の「攻める四間飛車」と言えば、角交換四間飛車ではないでしょうか。こちらも、プロの間で初めて本格的に研究し、流行らせたのは、藤井猛九段だと言われています。本サイトでも何度かご紹介させていただいていますが、その特徴は以下の局面図のように、
角道を閉じずに、四間飛車〜美濃囲いに囲う点にあるかと思います。実は、角交換四間飛車にも、「相手を居飛車穴熊に組ませない」狙いがありまして、
このように、こちらから角交換を挑み、相手に△同銀させると、銀が邪魔して穴熊に組みにくいという特徴があります。つまり、
角交換四間飛車も、序盤から仕掛ける戦法
と言えるかと思います。詳しくはこちらのエントリーで私見を述べさせていただきましたが、角交換四間飛車は、どうしても序盤から神経を使います。四間飛車のメリットである「序盤の駒組みがシンプルで安心」という点が、半減している側面があります。
それでは第三の戦法とは何なのか?
皆様は鈴木流、または「鈴木システム」と呼ばれる四間飛車があることはご存知でしょうか?その名の通り、鈴木大介九段が考案された戦法です。藤井システムほど有名ではないみたいですが、一応「鈴木システム」で検索すると出てきます。「四間飛車 攻める」で検索すると、「6六銀型がなんとか」という記事がいくつか出てくるかと思いますが、
基本はそれだと思います。
【C図は6六銀型の四間飛車】
(面倒なので相手側は初期配置のままです)
私が私なりに調べたところ、ポイントはむしろ▲6六銀ではなく、
- ▲6七銀に上がるのをぎりぎりまで保留し、▲7八銀で待機する
- ▲5六歩も、保留する
ことにあるのではないかと、理解しました。▲6六銀に構えたいのに▲6七銀に行かないとはキッカイな話ですが、ちょっとやってみたいと思います。
今、相手は典型的な斜め棒銀で来ています。通常はここで▲6七銀と上がって、△5三銀に▲5六歩とあがるところです。ここで、▲6七銀と▲5六歩を保留すると、どうなるのでしょうか?
そうです。ここで、▲6五歩に上がってみます。▲6六銀型に構えるには、当然その前に▲6五歩を突く必要がありますが、▲6七銀に上がってから▲6五歩を突くと、▲6六銀に行くどころではなくなります。
△7七角成に対して▲同桂しか手はなく、8筋を敵の飛車に突破されてしまいます。角は、8筋の防御の要です。
それに対して、▲7八銀のままで▲6五歩を突くと、どうなるのでしょうか。仮に△7七角成ときても、▲同銀としておけば8筋のガードはできます。他方、▲6五歩に対して相手が角道を閉じてきたら、▲6七銀から鈴木システムに移行することができます。
では、▲5六歩を保留するのは何なのでしょうか。もし、▲5六歩を突いた状態で角交換が発生した場合、
交換した角を7九に打ち込まれると、ちょっと面倒なことになります。飛車が逃げると、▲5六歩を突いたせいで空いたスペースから角に逃げられ、馬を作られてしまいますね。
故に、鈴木システムの要である▲6六銀に構えるには、▲6七銀と▲5六歩を保留したままで、▲6五歩と上がる必要があります。もし相手が角交換に来た場合の、備えが必要なのです。
・・・あれ?
補完関係?角交換四間飛車と第三の戦法
皆様、お気づきになりましたでしょうか?鈴木システムに構えるには、角交換に来られたときのことを、想定しておく必要があります。
他方、角交換四間飛車を指しこなすには、角交換を拒否されたときのことを、想定しておく必要があります。
つまり、
- 角交換を拒否されたときは鈴木システムで攻め、
- 角交換に応じて来たときは、角交換四間飛車で攻める
という、補完関係が、成り立ちませんでしょうか?しかも、「鈴木システムを目指して、結果角交換四間飛車になったケース」は、「最初から角交換四間飛車を目指すケース」に比べ、私見ながら、以下のメリットがあるように思います。
- 「序盤の駒組みがシンプルで安心」という、ノーマル四間飛車のメリットも、享受することが出来る。
- 角交換を拒否されても、心配ない。
- むしろ、角交換を拒否されたときの鈴木システムの方が本命。
加えてです。今一度、E図をご覧ください。
この時点で▲6五歩を突くと、相手の歩や銀が6四に進出できません。ということは、斜め棒銀や角交換型急戦(6五歩早仕掛け)、山田定跡といった主だった急戦に来ることが出来ません。この状態でも問題なく遂行出来そうといえば、矢倉引き角くらいでしょうか。
・・・なんだかこう考えてみると、鈴木システムがとっても素敵に見えて来ませんか??
そんな第三の戦法についてもっと詳しく知るには
色々調べてみましたが、以下の書籍が、鈴木システムの本家の書籍になるみたいです。
- 作者: 鈴木大介
- 出版社/メーカー: 毎日コミュニケーションズ
- 発売日: 2009/01/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 2回
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私は早速購入してみました。基本は、対居飛車穴熊用の戦法ではありますが、イビアナ以外にも応用出来るのではないかと期待しています。初心者の浅知恵かもしれませんが、藤井システムや角交換四間飛車に比べると、ノーマル四間飛車の延長として、初心者にもとっつきやすい戦法なのではないかとの期待感があります。なんとか鈴木システムを活用出来ないか、今後も試行錯誤を続けてみたいと思います*2。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。