四間飛車党と相振り飛車と囲いの種類

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あなたは四間飛車を愛していますか?そしてそれ故に、相振り飛車になったときに玉の囲いをどうすべきか、悩んでいたりしませんでしょうか。本エントリーでは、いくつか考えうる相振り向けの囲いについて、私なりの試行錯誤をご紹介させていただければと思います。

同じような課題に悩む方の何かしらの参考にでもなりましたら、幸いでございます。

はじめに

前回のエントリーでは、

  • ノーマル四間飛車党にも違和感なく指せる、
  • 相振りで損の少ない飛車の位置

について、検討してみました。当初、向かい飛車か石田流本組みあたりが無難な駒組みかと思って書き始めたのですが、書いているうちに思いの他、実は四間が悪くないんじゃないかという気もしてきました。そんな訳で結論は一旦保留にし、今回は相振り向けの囲いについて、考えてみたいと思います。

ポイント整理

独断と偏見ではありますが、ノーマル四間飛車党にとって違和感のない・指しやすい囲いの条件とは、以下ではないかと考えています。

  1. それなりに簡単に囲える。
  2. それなりに固い。
  3. 囲いに発展性がある。

美濃囲いは、対抗型において、これを満たしています。囲い方がシンプルなのが四間飛車+美濃囲いのメリットですし、穴熊ほどではないものの、一応「固い囲い」と言われています。そして、高美濃囲い→銀冠と囲いを発展させることができ、攻めあぐねたときにとりあえず指しとく手に、事欠きません。

一番目と三番目は対抗型だろうが相振りだろうがそんなに変わるものでもないので、問題はニ番目だと思います。

一般に美濃囲い(平美濃)は横からの攻撃に強く、上からの攻撃に弱いと言われています。ということは、基本的に上から攻撃されることが多い相振りでは、美濃囲いは不利なように思います。

ところが、私の対戦履歴上、相振りでも美濃囲いにする人をよくみます。藤井先生の「相振り飛車を指しこなす本〈2〉 (最強将棋21)」なんかでは、上からの攻撃に強い高美濃囲いが推奨されていますが、

最近よく見るのは、平美濃です。「必修!相振り戦の絶対手筋105 (マイナビ将棋BOOKS)」なんかでも、トレンドは「三間飛車+美濃囲い」なんて言われています。

「じゃあ相振りでも美濃囲いでいいのかな」なんて思って美濃囲いにしていた時期が私にもありますが、あるときなすすべなく囲いを崩されて以来、最近はニ枚金一択で指しています

順を追って、ご紹介させていただきます。

美濃囲いとニ枚金

相振り飛車だと、美濃囲いとニ枚金(金無双)がニ大囲いという印象がありませんでしょうか。金美濃囲いとかもありますがあまり囲いに発展性がありませんし、矢倉や穴熊は手数がかかる都合上、発展の最終形というイメージです。

というわけで、今更改めるまでもないかもしれませんが、一応美濃囲いとニ枚金の局面図を出してみます。
【A図】
http://shogipic.jp/v/JMX.png

下が三間飛車+美濃囲い、上が向かい飛車+ニ枚金になります。それなりに似ていて初級者の頃は大差なく・好みの問題で指せそうに思っていましたが、最近それなりに差も感じます。

2筋・8筋の防御力は大差ない(共に銀・玉の2枚)ですが、3筋・7筋、4筋・6筋の防御力は、かなり差があります。美濃囲いの3筋も玉・銀・桂の3枚とそれなりに利きがありますが、ニ枚金の7筋は玉・金・銀・桂の4枚!数の攻めの理論上、これを上回るのはかなり大変です。また、4筋・6筋の利きも美濃囲いの2枚に対しニ枚金の3枚と、ニ枚金側が上回っています。

単純に上部への防御力という意味では、ニ枚金に分がありそうです。

しかし

A図のように、角道を止めない三間飛車と美濃囲いを組み合わせた場合、少し話が違ってくるような気がします。A図をご覧の通り、飛車の横利きが遮られていないため、三間飛車+美濃囲いの防御力は、囲いの利き+飛車の利きといっても差し支えないのでは、と思います。

一方、角道を止めた振り飛車と美濃囲いを組み合わせた場合、どうなるでしょうか。角道を止めると、飛車の横利きも止まることが多いです。

なんとなく、「三間飛車と美濃囲いの相性の良さ」とは、つまりこのことで、飛車の横利きを止めがちなノーマル四間飛車党には、相振り美濃囲いは相性が悪いのかも。というような、気配を感じています。

これが最近、覚悟を決めて、ニ枚金一択で相振りを指している、主な理由です。

四間飛車党と相振り飛車とニ枚金

それでは改めて、ニ枚金とノーマル四間飛車党の相性を、考えてみたいと思います。おそらく、皆様が一番ニ枚金に二の足を踏むのが、

壁銀問題

ではないでしょうか。銀が玉の逃げ道を塞いでおり、歩も低く構えるとことが多いことから、どうしても一段飛車を打たれると、死亡率が高くなります。あの大山名人も、ニ枚金が嫌で、頑なに相振りは指さなかったとか。しかしそれも、

  1. それなりに簡単に囲える。
  2. それなりに固い。
  3. 囲いに発展性がある。

この条件を整理してみると、ある程度安心できるのでは、と思います。まず一つ目と二つ目は、問題ないかと思います。「相振り飛車を指しこなす本〈1〉 (最強将棋21)」などを見ていただければ、ニ枚金の囲い方はそれなりに分かりますし、壁銀問題があってなお相振りでニ枚金が採用されていたのは、前述の通り、上部への防御力があるからだと思います。

問題は三番目。ニ枚金は、何の囲いに発展できるのかニ枚金を最終形と考えると、どうしても壁銀問題が気になります。しかし、ある囲いへの通過点と考えることで、最終形では壁銀問題が解決出来る安心感と、通過点としてのニ枚金の価値を、感じることが出来るかもしれません。そのある囲いとは何か?ズバリ、

矢倉

です。ニ枚金からは、相振りで最強と言われる囲い・矢倉に発展させることができ、矢倉まで発展させることが出来れば、壁銀問題は解消します。しかし、いきなり矢倉に組もうと思うと、結構手数がかかります。そこで、「通過点としてのニ枚金」という考え方が、出てきます。とりあえずニ枚金に組んどいて様子をみ、隙を見て、矢倉に組み替えるというものです。

【B図】
http://shogipic.jp/v/JMb.png

例えば、こんな状況から・・・

【C図】
B図からの指し手:▲3七銀
http://shogipic.jp/v/JMd.png

▲3七銀と指すことにより、壁銀を解消しつつ矢倉に向かうことも出来ますし、▲3七歩と打って、ニ枚金のままで攻撃体勢を作ることも、出来ます。

ニ枚金の亜種

最後に、ニ枚金の亜種を二つほど、紹介させていただきます。いずれも、先手側がその亜種です。後手側は適当なので、無視していただければと思います。
【D図】
http://shogipic.jp/v/JMe.png

単に▲4八金と上がるのを保留しているだけなんですが、多少、一段飛車への耐性が、なくもないです。

【E図】
http://shogipic.jp/v/JMf.png

こちらは、vs中飛車やvs四間飛車のときに、たまにやります。玉の移動を保留して先に金をあげ、中央を厚くしつつ、玉の移動後も銀を上げるのを保留しています。

▲4九金型同様、これも横からの攻めに多少耐性があり、かつ壁銀にもなっていません。中飛車の場合、2筋から攻められることは少ないので、それなりに使えます。

おわりに

いかがだったでしょうか。壁銀問題や一段飛車問題は確かにキツイものの、▲7六歩〜▲6六歩の出だし(つまり、ノーマル四間飛車の出だし)からの相振り飛車を考えると、囲いは今の所、ニ枚金がベターなのではないかという気が、個人的にしています。隙を見て矢倉に発展させることが出来るのは、それなりに魅力的です。

以上で、本エントリーの内容は終わりになります。最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

参考書籍一覧

相振り飛車を指しこなす本〈1〉 (最強将棋21)

相振り飛車を指しこなす本〈1〉 (最強将棋21)

相振り飛車を指しこなす本〈2〉 (最強将棋21)

相振り飛車を指しこなす本〈2〉 (最強将棋21)

必修!相振り戦の絶対手筋105 (マイナビ将棋BOOKS)

必修!相振り戦の絶対手筋105 (マイナビ将棋BOOKS)

おまけ:2018/2/26 追記

こんな手筋があるのも、「覚悟を決めて二枚金を指しこなすしかないのでは?」と、私が思った、一因です。

ご参考までに。

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