初心者が語る角交換四間飛車・その3つの狙いとは?
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あなたは角交換四間飛車の基本的な狙いをご存知ですか?逆棒銀が有名ですが、実は基本的な狙いは3つ、あります。
本エントリーでは、私なりに理解する角交換四間飛車の狙いについて、整理ご紹介させていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
目次
はじめに
角交換四間飛車の狙いと言えば逆棒銀が有名だと思いますが、実は結構な成立条件があります。弱い将棋ソフトや初心者同士だと成立条件を無視しても仕掛けることが出来ますが、ちょっと対策を知っている相手だと簡単に封じることが出来ます。
本エントリーでは、その逆棒銀の成立条件と、成立しなかったときの基本的な狙いについて整理してみたいと思います。
狙いその1:逆棒銀
例によって例のごとくGoogleで角交換四間飛車を検索すると、当然ながら上位の方に「角交換四間飛車 逆棒銀」と出てきます。角交換四間飛車の代名詞と言えるのではないでしょうか。
今更ご紹介するまでもないかもしれませんが、こんな感じです。
A図は、角交換終了後、お互い基本的な駒組みを終えたところです。ここから、▲8六歩と仕掛けます。
仮に逆棒銀が成立しても結構大変なことは以前のエントリーでも軽くご紹介しましたが、実はそもそも逆棒銀自体を封じる手もいくつかあります。ぱっと考えて、
飛車先の歩を伸ばしてこないときはどうしよう?
というのは思い浮かぶかもしれませんが、もう一つ基本的な逆棒銀封じとして、
A図で△1五歩と突いているところ、代わりに△7四歩と突かれても、逆棒銀は成立しなくなります。
それぞれ見ていきたいと思います。
狙いその2:7筋からの攻め
何故△7四歩と突かれると逆棒銀は成立しないのか?
飛車先の歩を伸ばしてこないときは分かりやすいですが、△7四歩と突かれると何故成立しないのか?感が良い人はお察しがつくと思いますが、一応整理しておきます。
△7四歩型のときにそれでも構わず逆棒銀に行くと、このように桂ハネされます。これ以上銀が進めません。例えばここから桂頭を攻めてみたとします。
ノーマル四間飛車だとここで一件落着っぽいですが、角交換四間飛車だとそうはいきません。
歩を使って飛車を釣り上げられた上で、角でいじめられます。
飛車を逃げてもさらに歩で追撃されます。こうなってしまっては8筋から飛車を逃すしかありませんが、そうなると△8六飛と銀が取られてしまいます。大駒・と金が大挙して押し寄せてくるので、こうなっては非常に厳しいです。
・・・このように、△7四歩型に逆棒銀を強行しても、大抵よくはなりません。
では△7四歩型のときの狙いはなんなのか?
△7四歩型に対して、▲6六銀と中央に銀をあげるのがポイントです。
それに対して△7三銀と上がってきてくれればしめたもので、
さっそく歩を持ち駒にします。
△7四歩はこの一手として、次に△6四銀と腰掛け銀に構えてくれたら、僥倖です。腰掛け銀は角交換四間飛車対策として有力なのですが、△7四歩型の場合はそうでもありません。
▲7二歩が決まりました
地味な一手ですが、△同飛すれば8筋から攻められますし、放置しても▲7一歩成〜▲7二と金が厳しいので、嫌味な手です。このように、
▲6六銀〜▲7二歩を狙う
のが、△7四歩型で逆棒銀を封じられたときの、基本的な狙いです。ただ、相手も警戒して7一の地点への利きを切らさないように駒組みをしてきますので、
1歩獲得した後は、地味な持久戦になる
傾向があります。
狙いその3:飛車保留時の攻め
続いてはM図のような、逆棒銀を警戒して飛車先を伸ばすのを保留し、よくある△5三銀からの持久戦を目指された場合の、基本的な狙いです。
相手が飛車先を保留してきた場合はまず、
こちらから8筋を伸ばします
【O図は△8二飛まで】
△8五歩▲同歩△同飛▲8六歩△8二飛
それに対して「飛車先の歩の交換」を仕掛けてきたらしめたもので、喜んで交換に応じます。この辺、セオリーとして飛車先の歩の交換は極力避けるノーマル四間飛車とは、少し感覚が違うところです。
満を辞して▲8八飛と向かい飛車に回ります。これ以上歩に前進されてはたまらんので△8四歩と打つ他ないですが、なんのために飛車先の歩を交換したのかよくらからん状態になりました。
続いて銀を動かします。
逆棒銀に行く以外は、▲6六銀に行く
のが、基本的な狙いだと思っても、8割くらい間違っていません。
「攻めは飛角銀桂」とはよく言ったもので、続いては桂を動かします。お相手には穴熊に行っていただいてもいいんですが、とりあえず△3二銀と左美濃を完成させていただいておくことにします。ようやく、下準備が整いました。
これが狙いです
桂馬の利きを活かし、桂ハネしつつ飛車交換を迫るのが、飛車先保留時の基本的な狙いになります。古来より、桂ハネしつつの飛車交換は、跳ねた方が有利と言われております*1。
それに対して△8四歩と飛車交換を拒否してくればむしろラッキーで、喜んで▲8八飛と下がります。▲7五銀からの攻めがあるので、むしろ飛車交換を拒否してくれた方が厳しい攻めが出来ます。
まとめると、飛車先保留時の基本的な狙いは、以下になります。
- 自分から▲8六歩と8筋を伸ばし、
- ▲6六銀〜▲7七桂の下準備から、
- ▲8五飛と飛車交換を迫る
まとめ
と言うわけで、3つの基本的な狙いの成立条件とオペレーション概要を表にすると、以下のようになります。
成立条件 | 狙い | オペレーション概要 |
---|---|---|
△7三歩・△8五歩型 | 逆棒銀 | 向かい飛車から、▲8六歩△同歩▲同銀と、銀を8筋に進出 |
△7四歩型 | 7筋からの攻め | ▲6六銀から7四の歩をゲットし、▲7二歩と打ち込む |
△8四歩型(飛車先保留) | 飛車交換 | ▲8六歩〜▲6六銀〜▲7七桂から、▲8五歩△同歩▲同飛の飛車交換を狙う |
三つの狙いを全てぶち壊す四つの課題
しかし、そんな三つの狙いを全てぶち壊す、四つの課題があります。
課題 | 概要 |
---|---|
角交換を拒否されたら | 3つ全ての狙いが封じられるので、別の駒組みが必要になります。 |
△6四歩型に構えられたら | 実は角交換を拒否しなくても、△8五歩・△6四歩型からの腰掛け銀で、3つの狙いは全て封じられます。 |
相振り飛車に構えられたら | 特に先手角交換四間飛車の場合、相手が居飛車か振り飛車かもわからないうちから飛車を振るので、ときにはこうなります。 |
飛車先の歩対応 | 最高のタイミングで角交換しようと保留していたら先に飛車先が伸びてきたでござる。 |
以降のエントリーでは、3つの狙いと4つの課題、それぞれ掘り下げていってみたいと思います。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
参考書籍
角交換四間飛車の基本的な狙いについて、もっと知りたい方はこちら!
- 作者: 藤井猛
- 出版社/メーカー: 浅川書房
- 発売日: 2014/07/01
- メディア: 単行本
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*1:例によって例のごとくプロの間では・・・になりますけど。